西尾にほんごひろば


感動(かんどう)した「にほんごスピーチ発表会(はっぴょうかい)

2014(ねん)(がつ)30日()、「西尾(にしお)にほんごひろば」では、年度(ねんど)最後(さいご)ということで修了式(しゅうりょうしき)(なか)で「にほんごスピーチ発表会」を(おこな)いました。(あめ)()ったものの、(やく)70(めい)学習者(がくしゅうしゃ)とボランティアの(かた)(あつ)まり、12名の発表者の(ねっ)(しん)なスピーチに(みみ)(かたむ)けました。

(かく)クラスから()た発表者の中でN1の中国(ちゅうごく)のリイイエさんのスピーチ、審査(しんさ)委員長(いいんちょう)本郷(ほんごう)康士(やすし)さんの講評(こうひょう)、そして指導(しどう)されたボランティアの一人(ひとり)(ひろ)(わたり)(かず)(ゆき)さんから原稿(げんこう)(とど)きました。ここに紹介(しょうかい)します。

最初(さいしょ)に12名の発表者の一人、中国のリイイエさんです。


「私の心の中のもやもや」


みなさんこんにちは。わたしは「にほんごひろば」のN1教室で勉強している中国のリイイエと申します。

みなさんにひとつ質問かあります。みなんさんは、人と人との繋がりについてどう思いますか?

先日、小説を読んでいました。内容は自分の運命を選ぶ二人の女性の話。一人の方は仕事が辛くて同じ

職場の男性同僚と結婚しました。もう一人は仕事が楽しくて最後まで仕事をしていたら、隣に誰もいな

かった。読んだあと悲しくて寂しくて、自分のこれからの人生はどうなるのかと考えてしまいました。



 
 私は家族と離れて一人で日本にいます。ここにいる外国人の皆さんもだいだい私と同じように、ある人は三年で国に帰ります。ある人はずっと日本にいます。私にとって、毎週母に電話するのはとても大切なことです。でも、最初30分だった電話が段々短くなり、今ではほんの23分です。友人からも同じような話を聞きました。

彼は日本に来てから一年間半くらい、家族に電話した事もないし、国に帰ったこともないそうです。正直、怖いです。たったの三年で、今まで深い繋がりのあった人と溝ができてしまうことが。

 
私たちは自由に生きて、好きな事だけやって、他の人との繋がりを忘れてしまっている。でも、成長して自立した私たちは両親からもらった体、育ててもらった時間やお金を忘れてはいけないと思います。

親の後ろ姿を見ると、白髪が増えた親、目も悪くなってしまった親。毎日、離れている子どもの心配ばかりしている親。家に帰ってきた子どもに美味しいものをいっぱい作ってくれる親。仕事の不満を聞いてくれる大事な親を。

電話する時、親にはいい事ばかり話して悪いことは隠していないか?私たちは自分の親をちゃんと見ているでしょうか?前に進むことしか考えていない私たち、大切なことが見えなかった。そしてある日、なくしてしまった大切なものに気付くかもしれない。だっ
たら今からこうしたものを大事にしたほうがいいと思いませんか?ある人が言いました。今の時代、生きるだけで精一杯、そんな暇がないって。そう、私もそう思います。毎日働いて、ご飯を食べて、寝て、同じ事を繰り返すだけ。一体何のために生きているのか?恋もしていないし、お金もないし、30近い私にはまだ彼氏もいない。今まで、自分が何をしてきたかも思い出せない、ちょっと焦ってきた。どうすればいいのだろう?

未来の夫はどんな人だろう?子供のころ、大人になったら王子様のような人といっしょに幸せに暮らせると思っていました。でもそんなことは夢で現実には起きないということが分かってきました。周りの友達と話しても、仕事がどうとか、給料はいくらだとか、男の友達も金を稼ぐことばかり言います。

もううんざり。仕事とお金がそんなに大事でしょうか?私は、お金より親の健康が欲しい純粋な愛情が欲しい、私の隣にいてくれる親友が欲しい。人と人との繋がりが欲しい。二言三言で終わってしまう電話じゃない。いてもいなくても同じなら友達じゃない。それともこの社会がおかしい?

わかりません。わかっているのは、自分自身の思いや望みです。甘い考えかもしれません。でも、人間ってもともとおかしな生き物じゃないでしょうか?何かをずっと探していたり、大切なものを失ったりいまの私は、隣にいる人、私を愛してくれる人を傷付けないよう、人と人との繋がりをもっと深くしたいだけです。一生懸命に仕事していっぱいお金を稼いでも、も
っと大切なものがあると思いませんか?

  
 
以上、私の心の中のもやもやです。私の話につきあっていただきありがとうございました。

最後に、私は現在、彼氏を募集しています、私に興味のある方、ぜひ連絡してくださいね!

                                                  (中国 リイイエ)

 

 
 

(つづ)いて、審査委員長の本郷康士さんの講評です。


今日は全部(ぜんぶ)で12名のスピーチを聞きました。どのスピーチもすばらしかったと思います。

発表してくれたみなさんはよく練習をして、緊張(きんちょう)しながらもしっかりと話していました。()いた(かみ)()たないで発表したフィリピンのイサガニさん、素晴(すば)らしかったですね。みなさん、わかりやすい、聞きとりやすい日本語で話してくれました。おかげで私たちはスピーチを聞いて、時には楽しい気持ちになりました。「日本のビール、最高(さいこう)!」と言っていたブラジルのマエダさんや、大好(だいす)きな(むすめ)さんのことを話してくれた中国の(ちょう)さんの話を聞いた(とき)です。フィリピンのハットリさんの、(いえ)()い出された話はショックでした。モンゴルのゴックさんの、辛いときに(ささ)えてくれる友達についての話や、中国の()さんの、親にもっと感謝(かんしゃ)しましょうという話はみなさんきっと同じ気持ちで、とても考えさせられたと思います。それから何人かの人は将来(しょうらい)(ゆめ)(かた)っていました。なかでもモンゴルのシュレンさんの「人々(ひとびと)を幸せにするレストランを(ひら)きたい」、ベトナムのニャットさんの「大型(おおがた)トラックの運転手(うんてんしゅ)になりたい」という夢が印象(いんしょう)(のこ)りました。

   

 スピーチの内容はみんなちがっていましたが、(きょうつう)していたのは「たくましさ」だと思います。日本という外国で生活(せいかつ)するのはつらいし、さびしいし、むずかしいことですね。

そんな苦労(くろう)困難(こんなん)とむきあいながら、前むきに日本語を学んで、日本の中にとけこもうとしていること、それを「たくましさ」と()います。みなさんの「たくましい」話を聞いていて、私たちの(ほう)(ぎゃく)にみなさんから元気(げんき)をもらいました。ありがとうございます。

 今日の発表会はほんとうにすばらしかったと思います。(つぎ)機会(きかい)には、こんどはここにいるほかのみなさんの話しを()かせてください。

 それから、司会(しかい)のタリハイさんもとてもよかったと思います。おつかれさまでした。


(さい)()直接(ちょくせつ)指導(しどう)されたボランティアの(かた)の一人 (ひろ)(わたり)一之(かずゆき)さんです。
 
 生活(せいかつ)日本語(にほんご)クラスのボランティアとして、3人(さんにん)学習者(がくしゅうしゃ)のスピーチ発表(はっぴょう)をお手伝(てつだ)いさせていただきました。

まずは(はな)したい内容(ないよう)()いて、原稿(げんこう)()いてもらう(こと)からスタートしました。はじめて原稿を()んだとき、予想(よそう)以上(いじょう)()()にとても(おどろ)きました。

そこには3人が(あゆ)んできた人生(じんせい)と、現在(げんざい)の日本での生活(せいかつ)、そして将来(しょうらい)(ゆめ)が書かれていました。日本語も(とく)問題(もんだい)はありませんでした。
 
 
ただ、これだけの素晴(すば)らしい内容(ないよう)。私だけではなく、()のボランティアや学習者の心にもしっかりと(とど)いてほしい。そんな思いでサポートしました。それぞれ仕事(しごと)家事(かじ)などで(いそが)しいにも(かか)わらず、一生懸命(いっしょうけんめい)()()姿(すがた)には(むね)を打たれました。当日(とうじつ)は、緊張(きんちょう)した面持(おもも)ちで発表のときを()つ3人の姿に、私までそわそわしてしまいました。

しかし本番(ほんばん)では、練習の成果(せいか)発揮(はっき)して、ときに聞き手の(わら)いを(さそ)いながら、堂々(どうどう)と発表していました。スピーチを()えて、みんなから盛大(せいだい)拍手(はくしゅ)を受け、ホッとした表情(ひょうじょう)()かべる様子(ようす)を見て、「やって良かったなぁ」と思いました。今回スピーチを引き受けてくれた3人に心から感謝(かんしゃ)します。ありがとう!」